紛争の内容
会社員のAさんは、妻Bと10年前に結婚し、小学生の息子2人と、家族4人で穏やかな生活を過ごしていました。
ところが、3年前に妻Bは彼女の大学の同級生Cと不貞行為に及んでいたことが明らかになりました。
息子2人がまだ幼く、BはCと別れたと説明したため、AさんはBと離婚しないことに決めました。
しかし、その後再びBはCと交際し、不貞行為に及んでいたことが発覚したため、AさんはCに慰謝料請求をしたいと考え、弁護士に依頼をしました。
交渉・調停・訴訟等の経過
弁護士からCに対し受任通知を出したところ、Cには代理人弁護士が就きました。
Cの代理人は「Bとの交際は事実であるが、ABの夫婦は破綻していると思っていた」などと不貞の認識はない旨主張しましたが、
弁護士からBとの交際は二度目であり、以前も不貞行為があったという指摘を受けていたにもかかわらず、そのような主張は合理的ではないのではないかなどと指摘しました。
本事例の結末
結局Cは、自身とBの行為が不貞関係にあることを認め、ただAさんとBが離婚しないことを前提に、慰謝料としては60万円を払うということで早期解決を提案しました。
Aさんは、慰謝料の額には納得できなかったものの、Cが二度とBと関わりを持たないこと、再度連絡を取った際には違約金を今回の慰謝料と同じだけ払うことを約束したことから、慰謝料60万円で示談をすることとしました。
本事例に学ぶこと
不貞慰謝料の相場は100万円から300万円と一般的にいわれていますが、それは判決によるものであり、訴訟で争う場合には費用と時間、手間がかかってしまいます。場合によっては尋問等も実施することとなり、訴訟当事者の精神的負担も否定できません。
それを踏まえ、早期解決や柔軟な合意をすることを前提に上記相場よりも低い額で示談をするということも選択肢としては合理的な場合もあるかと思います。
最後は被害者の方の納得感という部分はありますが、なかなかご本人で慰謝料請求をするということは難しいため、お早めに一度弁護士に相談し、今ある現実的な選択肢についてご検討をいただくのが良いと感じました。
弁護士 相川 一ゑ