妻あるいは夫に「不倫をされた、慰謝料を取りたいがどうしたら良いか」
当事務所でも数多くご相談を受ける内容の一つです。
そこで、以下のコラムでは、不倫(不貞行為)の慰謝料を請求するための具体的方法とそのポイントについて、弁護士が解説していきます。
不倫と不貞行為
「不倫」とは、一般には、婚姻関係にある夫婦の一方が、夫あるいは妻以外の第三者と交際することをさします。
では、不倫をされた場合、常に慰謝料請求できるのでしょうか。
この点については、実務上は不倫の中でも「不貞行為」について慰謝料請求を認めています。「不貞行為」とは、婚姻関係にある夫婦の一方が、夫あるいは妻以外の第三者と肉体関係(性的関係)になることを指します。
不貞行為が判明した場合の対処方法
大きく分けて「交渉」「調停」「裁判」という3つの方法があります。
交渉
まずは相手に請求をしなければ始まりません。
もっとも、口頭だけでは後で「聞いた/聞いていない」という水掛け論になる可能性もあるので、書面で請求すべきです。
この書面もまた、後で「受け取った/受け取っていない」という話になることを防ぐため、内容証明郵便もしくは特定記録郵便又はその両方で送付するべきです。
では、不貞慰謝料の請求先(相手方)が分からない場合は?
方法としては以下の3つが考えられます。
A 自分で調べる
B 探偵に依頼する
C 弁護士に依頼する
A 自分で調べる
一応方法としてはあり得るので記載しましたが、お勧めはしません。例えば、尾行したりした場合、その方法を間違えると、住居侵入やストーカー規制法違反等、刑法上の罪に該当する危険性もあります。
B 探偵に依頼する
不貞の証拠と合わせて、探偵に依頼するのも良いと思います。
ただし、一定程度の調査費用がかかると思います。
C 弁護士に依頼する
不貞相手の住所を調べるだけでなく、その後慰謝料請求を行うのであれば、弁護士へ相談、依頼したほうが良いと思います。
弁護士は、具体的に以下の方法により住所を調査します。
①住民票や戸籍謄本を取得する
②携帯電話会社に弁護士会照会をかけ、携帯電話の契約者名・住所を調べる
③車のナンバーから、陸運局に弁護士会照会をかけ、車の所有者・住所を調べる
もし不貞慰謝料請求をしたいけれど、相手方の具体的住所が分からないという場合は、一度不倫に強い弁護士に相談してみてください。
調停
交渉がうまくいかなかった場合もしくは交渉をせず、いきなり調停を申し立て、慰謝料を請求することも可能です。
この場合、簡易裁判所のほか家庭裁判所も、不倫相手に対する調停の申立てを受理する取り扱いとなっているようです。
裁判(訴訟)
交渉や調停がうまくいかなかった場合もしくは交渉・調停をせず、いきなり訴訟(裁判)を起こすことも可能です。
ただしこの場合は、以下に述べるような、不貞行為の証拠がなければ、慰謝料が認められない可能性があります。
不倫(不貞)慰謝料の証拠
では、不倫(不貞)慰謝料の請求にはどんな証拠が必要でしょうか。
相手方が不貞の事実を認め、その点に全く争いがなければ良いのですが、少しでも争いがある場合は、やはり証拠が必要です。
裁判所は証拠に基づき判断します。証拠がなければ、不貞行為の事実を認定してくれません。そのため、しっかりと証拠を集めていただく必要があります。
それでは、どんな証拠が必要になるでしょうか。
考えられるものを以下に列挙してみます。
・探偵事務所などの調査報告書
・携帯電話等のLINEやメール
・配偶者の証言の証拠化(書面化)
・写真
・SNSなどのやり取り
などなど
ただ、これらは単にあれば良いというわけではありません。その内容が重要です。不貞行為の立証に十分か否か、まずは一度弁護士に相談してみてください。
不倫(不貞)慰謝料の時効
では、慰謝料の請求はいつまでできるのでしょうか。
不貞慰謝料の請求には消滅時効・除斥期間があります。
消滅時効は、被害者がその損害や加害者を知った日から3年です。不貞の事実を知ったものの、3年間請求しなければ、時効により請求が認められない可能性があります。
ただし、消滅時効は、3年の経過とともに自動的に消滅するのではなく、相手方がその消滅時効の主張をして初めて成立します。そのため、3年経過していても、請求をして相手方が認めさえすれば、時効により消滅ということにはなりません。
一方、除斥期間は20年で、20年以上不貞の事実に気づかなければ、請求権が消滅してしまいます。
いずれにせよ不貞慰謝料の請求をする場合、この消滅時効と除斥期間は注意しなければなりません。気になる方はまずは一度不倫に強い弁護士に相談してみてください。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。