紛争の内容
相談者は、夫のスマホなどに残されていた不倫相手との数々のやりとりを発見し、夫の裏切り行為にひどく落胆した様子で法律相談をされました。
弊所は、数々の不倫慰謝料を請求する側でお受けしていた経験と実績がありましたので、不倫の証拠の評価を行い、仮にご依頼をいただいた場合の見通しや考えられるリスクなどを丁寧に説明したところ、「ぜひ、私の代わりに請求してほしい」というご用命を受け、着手金0円にて、不貞相手に対する慰謝料請求の交渉事件を受任しました。
交渉・調停・訴訟等の経過
まずは、受任通知書を作成し、送付することになります。
依頼者様との打合せにより、不貞行為の内容はもちろん、証拠関係の精査、心のうちをよくお伺いし、通知書に盛り込むことにします。
その内容としては、法律家として、請求する根拠を法的根拠とともに必要十分な内容で作成します。
通知書は、あまり冗長であってはいけませんし、かといってあまりに淡泊すぎるのも問題があります。
また、「請求額」はよくよく検討する必要があります。特に高すぎる請求はメリットがありません。
なぜなら、高すぎる請求は、「不当である」として裁判沙汰になる場合や、相手方が弁護士を選任して解決までに余計に時間がかかってしまうという場合があるからです。
もっとも、ご依頼者の心境をよく考え、低すぎる請求についても避ける必要があります。
この辺りは、裁判例の集積がありますので、総合考慮のうえ、金額を定めます。
さて、受任通知を送付すると、先方から回答(お電話)がありました。
もっとも、先方にも思うことがある様子でしたので、弊所にお越しいただき、対面で話をすることになりました。
話は1時間程度に及びました。
様々な角度からお話しをし、一貫して、依頼者を代弁して200万円の支払を求めました。
もちろん、ここで弁護士が無理なことを言ったり、脅しのように捉えられるようなことは口が裂けても伝えません。
終始冷静かつ合理的に話をし、相手の言い分を聞きつつ、依頼者の言い分(心情含む)を最大限に伝えることが目的です。
その結果、支払に応じるとの回答がありました。
そこからはスピード勝負ですが、示談をする以上、合意書を必ず作成すべきです。
そうしないと、後でトラブルが再燃するおそれがあり、当事者双方にとって不幸になるためです。
合意書案を至急作成し(当然、我々はノウハウがありますので、多くの時間は要しません)、依頼者に対する説明と承諾、相手方に対する説明と承諾を経て、完成させます。
なお、合意書の内容は、ケースバイケースで、依頼者様の要望等にも応じ、盛り込む条項は異なります。
本事例の結末
今回は、相手方に現金200万円を持参していただき、合意書を作成すると同時に賠償を受け取るという方法で進め、蓋を開けてみると、弁護士が受任してから1か月以内(わずか2週間程度)で、事件を解決させることができました。
本事例に学ぶこと
交渉のやり方は様々です。
電話を中心に行う場合、メールや文書、中にはLINEでのやりとりを中心に行う場合、対面での話し合いを中心に行う場合です。
これでなくてはならないということはありませんが、事件の内容や相手方のスタイルなどにも臨機応変に対応し、最善の方法でスピーディに話を進めるのが弁護士の腕の見せ所といえましょう。
ところで、弁護士によっては、相手方との対面での話し合いを好まない傾向にある人もいます。なぜなら、相手方というのは、いわば依頼者とは対立構造にあり、話し合いでは埒が明かないことや相手方が感情的になるなどのリスクもあるからです。
今回は、相手方と対面で膝を突き合わし、目を見て会話をすることが、解決の糸口になると考えたため、面談を実施していますが、必ずこのような方法をとるというものではありません。肝心なのは、結果に結びつく最善の交渉を進めることと、依頼者様と意思疎通を図りながらいわば二人三脚で事件を進めるということです。
弁護士の中には、ほとんど報告、連絡や相談もなく事件処理を進め、途中から又は後になって話と違うというトラブルになるケースも少ないながらも存在すると聞いております。
そのため、どの弁護士に依頼するかは、依頼者様自身が直接話をし、説明を聞き、任せられると思う弁護士を選任することが重要です。
なお、弊所の弁護士は、全員、LINE WORKS なども駆使しております。
報告や連絡や相談をしないというタイプの弁護士はおりませんので、ご安心ください。
弁護士 時田 剛志