紛争の内容
夫婦の別居後、夫の行先が分からなかったため、妻が探偵に調査を依頼したところ、夫が借りているアパートに女性を3回程宿泊させていたことが判明しました。
そこで、不貞を疑った妻は、弊所に相談し、弊所は不貞慰謝料請求事件として受任しました。
交渉・調停・訴訟などの経過
交渉として、不倫慰謝料を請求する通知を出したところ、相手方が弁護士を選任、その弁護士からは不貞を全面否定する旨の回答が届きました。少し、質疑をやりとりした後、結論が変わらなかったので、訴訟提起しました。
訴訟では、請求する妻の居住地を管轄する裁判所も管轄を有しますので、不倫相手がたとえどこに住んでいても、自身の有利な管轄で裁判を進めることができます。
裁判の中でも、不倫について全面的に争い、また、夫が既婚者であるとは知らず故意や過失がなかったと反論し、宿泊の事実についても争ってきました。その結果、当事者尋問、証人尋問を実施しました。
当方は、反対尋問で被告や証人の証言を弾劾する証拠を提示し、最終準備書面では、それまでの訴訟の経過の総まとめとして、尋問結果を踏まえながら、書面を提出しました。被告側は最終準備書面すら提出しませんでした。
本事例の結末
結論としては、裁判所は、5回宿泊した事実を認め、不貞行為が推認できるとして、不貞の事実を認めました。また、被告の故意・過失についても当事者の事情に照らし、既婚者であると認識し、少なくとも認識しなかったことに過失があるとしてその責任を認めました。一方で、別居後の事情ではあるから夫婦関係が悪くなっていたということは認められ、慰謝料としては50万円を認容しました。
くわえて、探偵に依頼したことで不法行為が立証できたので、5万5000円分を認め、弁護士費用相当損害金としても5万5000円分を認めました。
よって、61万円の支払い命令が下され、これに最後の不法行為時から年5%の遅延損害金を認めました。
第一審は確定し、遅延損害金を含む約70万円を回収することができました。
本事例に学ぶこと
今回の判決は、決して多額とはいえませんが、事実認定されている部分(いわゆる、判決の理由中判断)については、夫との離婚の争いでも生かされる資料となります。つまり、妻が離婚したくないと思えば、夫が有責配偶者であることの裏付けに利用できますし、離婚するとしても、離婚慰謝料(離婚慰謝料は、不貞慰謝料よりも広く、離婚させる原因を作ったことに対する責任を指します)を請求する資料にもなります。
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