紛争の内容
依頼者の夫は長年にわたって不貞関係を続けてきました。ようやく不貞相手を特定することができ、慰謝料の請求をするために弁護士に相談するに至りました。
交渉・調停・訴訟等の経過
不貞関係にあったことを裏付ける証拠はあったものの、その期間を裏付ける証拠に欠けていました。そのため、時間と費用をかけて訴訟による解決を図っても、慰謝料金額は限定されたものになってしまうことが懸念されました。また、当然のことながら、依頼者は不貞相手に強い怒りの感情を抱いており、お金さえ払えば終わり、という結末をどうしても避けたいと考えていました。そこで、弁護士から不貞相手に対し、いきなり訴訟提起する態度を示すものとは異なる書面を送ることにしました。
すると、不貞相手にも弁護士が就きました。相手方弁護士と交渉する中で、不貞相手としてもどうにか訴訟は避けたいという意思を有していることを知ることができました。そこで、依頼者に対して謝罪の手紙を差し入れるのであれば、２００万円慰謝料を支払うことで解決をすることに応じても良いと伝えました。
本事例の結末
最終的に、不貞相手は当方の要望どおり、手書き直筆で謝罪文を内容とする手紙を送ってくることになり、さらに、慰謝料２００万円を一括で支払うに至りました。
本事例に学ぶこと
不貞が発覚した際、不貞相手から多額の慰謝料を取り、さらには直接の謝罪を求める方がとても多くいらっしゃいます。しかし、法的にはあくまで金銭的な解決を図るしかなく、不貞をされてしまった依頼者にはもやもやした気持ちが残ってしまうことが多いです。本件では、訴訟によって得られる金額を妥協することで、強制することができない謝罪の手紙を書いてもらうことができたという、とても例外的で重大な結果を得ることができた事例となりました。
弁護士 平栗 丈嗣
